ウクライナ戦争の終結に向けた動きが加速しています。
トランプ政権とロシアの間で進む和平交渉の最大の障壁として浮上しているのが、ゼレンスキー大統領の存在です。
トランプ大統領は「平和を望まない独裁者」とゼレンスキーを公然と批判し、ウクライナへの軍事支援を一時停止。
一方、プーチン大統領も「任期切れの不法な大統領」としてゼレンスキーの排除を和平条件に掲げています。
国内では支持率低下と権力集中への批判が高まり、国際的にも孤立を深めるゼレンスキー大統領・・・。
その政治的運命が揺らぐ中、ウクライナ戦争終結への新たな道筋が見え始めています。
ゼレンスキー排除の動きは、皮肉にも長く待ち望まれた和平合意締結の予兆となるのか。
ゼレンスキー排除の背景
和平交渉の障害としてのゼレンスキー排除論
トランプ政権がゼレンスキー大統領を排除したいと考える背景には、ロシアとの和平交渉を早期に実現したいという思惑があります。
トランプ大統領は就任以来、ウクライナ戦争の早期終結を最優先課題としており、ゼレンスキー大統領がその障害になっていることを認識しているのです。
特に問題視されているのは、ゼレンスキー大統領が2月13日に「ウクライナ抜きの合意は一切受け入れることはできない」と明言し、ロシアのプーチン大統領が米国との二国間交渉に持ち込もうとしていると指摘したことです。
ゼレンスキー大統領は「プーチン氏が思い描く計画通りに事態を進ませないことが重要だ」と述べ、米国とウクライナが戦争終結に向けた計画を先に策定することが重要だと主張しました。
この姿勢がトランプ政権の不満を招き、ゼレンスキー排除の動きが加速している可能性があります。

ロシアの思惑:ゼレンスキー排除はプーチンの目標
ロシア側もゼレンスキー大統領の排除を明確な目標としています。
プーチン大統領は、2024年に予定されていたウクライナ大統領選挙が戦争で延期されたため、任期が満了したゼレンスキー大統領は「不法」であり、平和協定に署名する権利がないと主張しています。
ロシア元大統領のドミトリー・メドヴェージェフは「ゼレンスキーは大統領執務室でしっかりと叱責された」とXに投稿し、ウクライナ側の立場が弱まっていることを示唆しています。
アメリカの研究者は「ゼレンスキーを除去し選挙を実施するのはまさにロシアが待っているところ」と分析し、「ゼレンスキーを追放すればプーチンは今回の戦争の主要目標の一つを進展させたと言えるだろう」と評価しています。
つまり、ゼレンスキー大統領が排除されれば、ウクライナ指導部が親露性向に再編される可能性があるというわけです。
ハンガリーの動き:ゼレンスキー排除への支持
ハンガリーのオルバン首相はウクライナ戦争が続く中、他の欧州首脳よりもプーチン大統領と緊密な関係を保っています。
2024年12月、オルバン首相とプーチン大統領は電話会談を行い、ウクライナ問題について協議しました。
オルバン首相はゼレンスキー大統領に「クリスマス停戦」と捕虜交換を提案したと主張していますが、ゼレンスキー大統領は「これを明確に拒否し、除外した」としています。
ゼレンスキー大統領はハンガリー独断の「平和ミッション」を容認しない姿勢を示し、「団結を犠牲にして個人的イメージを高めようとすべきではない」と批判しています。
ハンガリー政府の情報部のラズロ・ラベディ大佐は「アメリカはゼレンスキーを排除するだろう。他に選択肢はない。誰もゼレンスキーのことなど真剣に考えていない」と断言しています。
さらに「ゼレンスキーの発言に政治的価値はなく、彼はモスクワとワシントン間のウクライナ問題解決のために去らなければならない」とも述べています。
このようなハンガリーの動きは、EUの中でもゼレンスキー大統領に批判的な立場を取る国があることを示しており、ゼレンスキー排除の国際的な環境が整いつつある可能性があるのです。
【ゼレンスキー排除理由】権力集中の不安
長引く戦争の中で、ゼレンスキー大統領の権力集中に対する批判も高まっています。
当初は民主主義を断固として主張し、既存体制の克服を掲げて選出されたぜレンスキー大統領が、いまや戒厳令下の国家における支配者となっているという指摘があります。
ゼレンスキー大統領の主な政敵は、軍事戦略や戦時下における統治や外交といった問題に関する重要な意思決定から排除されており、一般のウクライナ国民にも、ゼレンスキー大統領のチームに権力が集中することへの不安を口にする人が多いと報じられています。
ロシアによる侵攻を受けてウクライナ国民が一致団結した2022年には、ゼレンスキー大統領の支持率は90%にまで跳ね上がりましたが、その後は長引く戦争への疲労感や評判の悪い徴兵推進策、声望ある司令官の解任、そしてロシアが徐々に前進しているという戦況の暗い見通しに足を引っ張られているのです。
NATO加盟問題:ゼレンスキー排除の理由の一つ
ゼレンスキー大統領排除の背景には、ウクライナのNATO加盟問題も関係しています。
ゼレンスキー大統領はNATO加盟を強く希望していますが、ロシアはウクライナのNATO加盟を認めないことを和平条件として提示しています。
2023年7月のNATO首脳会議では、ウクライナの将来的な加盟を再確認したものの、直ちにNATOに招待することは見送られました。
ゼレンスキー大統領はこの決定に対し「加盟招待あるいは加盟自体の時間軸が設定されないのは前代未聞でばかげている」と失望感をあらわにしています。
NATO加盟をめぐる対立は、トランプ政権とゼレンスキー大統領の間の溝をさらに深める要因となっています。
【ぜレンスキー排除論】今後の展望
トランプ政権との関係悪化、ロシアからの圧力、国内支持率の低下など、ゼレンスキー大統領を取り巻く状況は厳しさを増しています。
トランプ政権がすでにウクライナに対するすべての軍事支援を一時停止している現状では、ゼレンスキー大統領の立場はますます弱まっています。
今後、トランプ政権がゼレンスキー大統領の排除を本格的に進めるのか、あるいはゼレンスキー大統領の譲歩を受け入れて関係修復を図るのかが注目されます。

いずれにせよ、ウクライナ戦争の行方とゼレンスキー大統領の政治的運命は、トランプ政権の判断に大きく左右される状況となっています。
ゼレンスキー大統領排除の動きは、ウクライナの将来だけでなく、国際秩序全体に大きな影響を与える可能性があるのです。
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