【解説】フジテレビ株価急騰の理由|株主総会で待つ歴史的転換点

『不祥事なのに株価上昇?』—— フジテレビで起きた予想外の展開に、市場関係者が注目しています。

中居正広による性加害問題の発覚。そして、その背後に潜むフジテレビの「タレント性上納システム」の存在が明るみに出ました。

謝罪会見での不誠実な対応に批判が殺到し、わずか数日で75社もの企業がCMスポンサーから撤退する事態に発展しました。しかし、皮肉にも株価は下落するどころか上昇を続けています。

なぜなのか?誰が動いているのか?

本記事では不祥事を機に動き出した“フジテレビ改革”の真相に迫ります。

フジテレビ株価急騰の理由①

フジテレビ現在の株価状況

フジテレビの不祥事と不誠実な記者会見後も株価の上昇は続いており、現在では、時価総額は約4000億円規模まで拡大し、個人投資家だけでなく機関投資家の関心も集めています。

特筆すべきは、PBR(株価純資産倍率)が0.4倍と極端な割安水準にあることです。

これは、コーポレートガバナンスの観点から、経営陣の刷新が期待され、フジテレビが抜本的に立て直せる可能性を感じた投資家にとっては追い風になっています。

フジテレビの株価急騰は、今回の不祥事により現経営陣の入れ替えが行われることで、株主が求める企業価値の大幅な向上が期待できるからです。

フジテレビ株大量売買の発生要因

株価上昇の背景には、複数の投資ファンドによる戦略的な投資行動があると見られています。

特にフジ・メディア・ホールディングスの7パーセント以上の株式を保有するダルトン・インベストメンツが主導的な役割を果たしており、経営改革を求める声を強めています。

加えて、2025年6月の株主総会における経営陣刷新への期待が高まっていることも、投資家の関心を集める要因となっています。個人投資家の間でも、ガバナンス改革への期待から投資対象として注目を集めています。

【フジメディアHDの企業価値】不動産事業の収益構造

メディアコンテンツ事業が売上の70%を占める一方で、利益の約2/3は不動産事業から生み出されています。

この収益構造は、放送事業の収益性低下を不動産事業が下支えする形となっているのです。

フジ・メディア・ホールディングスは、大手町三井ビルをはじめとする優良不動産を保有しており、安定的な収益基盤となっています。賃料収入は景気変動の影響を受けにくく、企業価値の重要な構成要素となっているのです。

杉山誠空
ダルトン・インベストメンツなどのアクティビスト投資家は、フジ・メディア・ホールディングスの資産状況を当然ながら熟知して投資しています。

フジ・メディア・ホールディングス保有資産の実態

フジ・メディア・ホールディングスは、不動産以外に驚くべき規模の資産を保有しています。

現金及び現金同等物は約1000億円規模で、これに加えて政策保有株式として約2000億円相当を保有しています。

ワコールなどの株式を17%程度保有するなど、業務提携や取引関係に基づく株式を多数保有しています。

これらの資産は企業価値を下支えする重要な要素となっていますが、一方で資本効率の観点からは課題となっています。ROE(株主資本利益率)は4%程度と、一般的な目標値である8%を大きく下回っている状況です。

メディア事業の現状

メディアコンテンツ事業は売上高の約70%を占める主力事業ですが、収益性は低下傾向にありました。

もともと視聴率の低迷や配信プラットフォームの台頭など構造的な課題も抱えており、事業モデルの転換期に直面しています。

そのような状況でありながら、今回の中居問題に対するフジテレビの不誠実な対応が、広告主の離反となりCM収入の大幅な減少となりました。

杉山誠空
社内には優秀な人材も多いものの、株式を所有しない雇われ経営陣の高齢化や意思決定の遅さが改革の足かせとなっているとの指摘もあります。

フジテレビ株価急騰の理由②

アクティビスト投資家の動き【ダルトンの投資戦略】

ダルトンは長期的にフジメディアHDの株式を7パーセント以上を保有し、企業価値向上を求めてきました。

現在の経営体制への不信任を表明し、特に2025年1月の中居問題をきっかけに、経営陣の刷新を強く要求しています。

経営陣への要求事項

ダルトンを中心としたアクティビスト投資家からの主な要求は、コーポレートガバナンスの抜本的な改革です。具体的には、①現経営陣の総退陣、②取締役会の若返りと独立性確保、③不動産資産の効率的活用、④政策保有株式の縮減などを求めています。

杉山誠空
特に日枝会長を中心とする現経営体制が、企業価値向上の障害になっているという認識を示しています。

2025年6月株主総会での展開予測

2025年6月の株主総会は、フジメディアHDの歴史的な転換点になる可能性が高まっています。

すでに過去の株主総会では、現経営陣への賛成票が50-60%台と異常な低さを示しており、今回は過半数を割り込む可能性も指摘されています。

株価急騰のもう一つの要因となる個人投資家の参加増加も予想され、経営陣の選任を巡って激しい議決権行使の攻防が予想されます。

フジテレビ現経営陣への不信任

現在の経営陣、日枝会長を中心とする体制への不信任が強まっています。

経営陣は株式をほとんど保有していない「単なる雇われサラリーマン」であるにもかかわらず、企業を私物化しているとの批判が高まっています。

取締役会の最大の問題は、日枝会長(88歳)を中心とする高齢経営陣による長期支配体制です。

若手登用や外部からの新しい視点の導入が進まず、業界環境の激変に対応できていません。

杉山誠空
メディア事業の専門家が多い一方で、不動産事業のプロフェッショナルが少ないことも、資産効率の低さにつながっています。

フジテレビの改革への期待

アクティビストファンドを中心に、経営改革への期待が高まっています。

具体的には、①経営陣の若返り、②独立社外取締役の増員、③政策保有株式の縮減、④不動産資産の効率的活用などが求められています。

2025年6月の株主総会では、これまでにない大規模な経営陣の刷新が起こる可能性が指摘されています。

個人投資家の関心

個人投資家の間でも、フジメディアHDへの関心が急速に高まっています。

6月の株主総会に向けて、「夏のお台場総会」として注目を集めています。100株(約18万円)で株主総会に参加できることから、経営改革への期待や投資機会として捉える個人投資家が増加しています。

杉山誠空
ホリエモンのフジテレビへの逆襲など、SNSでの情報発信も活発化し、投資コミュニティでの議論も活性化しています。

機関投資家の動向

機関投資家も徐々に動きを見せ始めています。

ダルトン以外のアクティビストファンドの参入観測も出ており、オアシスなど著名ファンドの動向も注目されています。これまた株主総会での議決権行使の動向が、今後の経営改革の鍵を握ると見られています。

【フジテレビの株価急騰】今後の株価見通し

2025年6月の株主総会が重要な転換点となります。

現経営陣の刷新が実現すれば、フジ・メディア・ホールディングスの企業価値の大幅な向上が期待できます。

特に不動産事業の価値や政策保有株式の活用など、潜在的な価値の顕在化が期待されます。一方で、メディア事業の立て直しには時間がかかる可能性があり、短期的な業績の変動リスクにも注意が必要です。

何にしても、中居問題から表に出ることになった不祥事という逆境が、フジテレビの構造改革の追い風となっているのですから。引き続き注目していきましょう。

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